20代のはじめのころ、「新しい自分と出会う本」(うろおぼえ)というものを書店で見つけ、おもしろそう!と思って購入。
たしか「ブッククラブ回」というところが出版していて、それまで知らなかった精神世界やオカルトな本、世界の森羅万象について、テーマ別におすすめの本を5冊くらいピックアップしてくれる、という内容でした。
紹介されていた本が、全部で500冊(テーマが100で紹介される本は1つのテーマにつき5冊)だったというのは覚えています。
その中のテーマで「ダークサイドを知る」(うろおぼえ)というページにのっていたのがこの本。
表紙がモノクロで、手を上げて歩かされている少年の写真が怖くて印象的でした。
ずっと心の片隅に引っ掛かっていたのですが、この年になってようやく読む機会に恵まれました。
内容は、アウシュビッツの強制収容所から奇跡的に生還した、ユダヤ人の心理学者が体験した、人間についての考察などのお話です。
私は基本、本は図書館派なので、読みたい本は予約します。
今回届いた本を見て、あれ?表紙がちがうと思いました。
どうやら、ざっくりいうと旧版と新版があるようで、私が持っていたイメージの表紙は旧版だったようです。
本を読むにあたって、恐ろしい残酷な描写を覚悟していたのですが、思ったよりも淡々と記述されています。
ただ怖がらせることが目的ではなく(もちろん内容は恐ろしいのだが)、このような極限の状況の中での、人間のふるまいというものに焦点が当たっています。
収容所側には恐ろしい人間がたくさんいますが、隠れて優しくしてくれる人も一部にはいます。
収容される囚人の中には、権力に取り入って、少しでも生きるために仲間を売ったりする人もいます。
このような状況が、70年位前にあったのは事実ですし、世界では今も形を変えて恐ろしいことがあちこちで起きています。
私の叔父も何年か前に亡くなりましたが、戦争でシベリアの強制収容所に入っていたそうです。(話を聞いておけば、聞いてあげられたら、よかった?)
村上春樹さんの「ねじまき鳥クロニクル」にもたしかそのような状況のエピソードがでてきたと思います。(ここもうろおぼえ)
「皮剥ぎボリス」の名前は強烈に覚えてますが。
何が言いたいかというと
①まず今自分の生きている環境は、これらの事象、時代に比べてとてもとても恵まれているということ。
②そして人間は(というか私も)、確固たる信念や生き方を持っている人でない限り、その時の状況で善人にも悪人にもなりうるということです。
今の自分自身は恵まれた環境ではあるけれど、程度の差はあれ、それなりにつらいこともあるといったところ。
そして②で思ったように、確固たる信念も生き方も特にない自分は、ただただそのような悪人になるような状況にならないことを願うばかりです。
他力本願かなー。。
こちら旧版
久々に再読したくなった